傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ミクロの決死圏」

 引っ越しも落ち着いた(はず)なので久しぶりに。今回はあまりにも偉大過ぎて言葉にしにくい作品。

 

 

【あらすじ】

 物を小さくする技術が開発されたが、それには現段階の技術だと時間制限があった。その時間制限を克服する技術を持った科学者が亡命するが襲撃にあい脳内出血で意識不明の重体となる。医療チームは1時間という短時間でミクロサイズになって科学者の脳内に直接侵入して手術を行うことになる。


【感想】

 この映画、公開は1966年です。つまり、約50年前に作られた映画ということなのですが発想や撮影方法などは現代の技術とあまり変わりません。確かに映像は古臭いのですが、ストーリーの持っていく方法とか絵の見せ方とか、逆に今の映像に参考になりそうなところばかりです。温故知新。


 そして見どころは何と言っても船を小さくしていくところだけでなく、人体の中が小宇宙のようになっているという発想です。確かに映像は非常に古いものですが、何を伝えようとしているのかはすぐにわかります。いくらきれいなグラフィックで誤魔化したとしても、何を伝えるのかクローズアップできなくてはただのきれいな映像です。この映画は当時の技術の最先端で出来ることを頑張って詰め込んだところがあり、そういうガッツが非常に好きです。


 内容も結構単純なドキドキハラハラで、複雑な部分があまりないのがよいです(多少の伏線はあるけれども)。例えば一度心臓を通って進むとか、耳の近くでは空気の振動が強風のようになるとか、そういう想定外の冒険が楽しいのです。別にラブロマンスとかあんまり求めていないので、最近の「いかにもくっつきます!」みたいなのは要らないの。逆にこれでもかと言わんばかりのお色気要員みたいなのは許す。


 でも脳内での手術シーンはちょっと「ヤスっぽい!」と思ってしまった。当時はこれが限界だったと思うのでなんとも言えませんが、冒険ロマンスが急に特撮怪獣映画みたいになったのはちょっと残念でした。つーか白血球怖すぎ。あんなモンスターが夜道で出てきたら間違いなくビビる。最後もちょっとご都合主義だし、時間の関係で端折ってるのかもしれないけど終わり方はちょっと唐突だったかなあ。


 今のところリメイク企画も進んでいるみたいで、とっても楽しみです。現代のきれいなグラフィックと今でも奇想天外な発想が組み合わさると一体どうなるのでしょう。