傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「キルラキル」

 愛と勇気とお約束とお色気とわけのわからないものがあればなんとかなる!

※全話視聴前提感想です。ネタバレしても責任はとりません。

 

 

【あらすじ】

 纏流子(まといりゅうこ)は殺された父の仇を探すために本能寺学園へやってきた。そこは「極制服」によって生徒の階級が分けられ、武力と権力によって生徒会長の鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)が恐怖支配していた。流子は父の残した片太刀バサミを手がかりに皐月が父の死の真相を知っていると確信するが、喧嘩を得意とする流子でも極制服に歯が立たない。ところがかつての自宅の地下に眠っていた喋る服「鮮血」を着ることで圧倒的な力を手に入れ、服と人間をめぐる壮大な戦いに巻き込まれていく。

 

 【感想】

 普段深夜アニメを全く見ない自分でも、めちゃくちゃ楽しむことが出来ました。というより、見ていて懐かしくなってくるんですよ。「あー、ここでこうなるんじゃないか」と思うことは大体予想を裏切らないんですよ。王道というか、お約束と言うか、ベタというか。そういうのがぐちゃぐちゃに詰まった心地よさがありました。


 まず、キャラクターデザインがわかりやすくてよかったです。流子の赤い前髪はマコの「流子ポーズ」で必要なエッセンスでした。皐月様もかっこいいし、何よりマコのシンプルなのに自己主張の激しいデザインが素敵です。他の極制服の変身シーンとか、見ていて胸が熱くなってきます。

 なんというか、この番組深夜でなくてもいい気がするんですよ。裸がボロンボロンというだけでそういうことになっているならちょっと残念ですが、視聴感(という言葉があれば)が「ワタル」とか「ヤマトタケル」とか「飛べイサミ!」とかあの辺のアニメに似てるなーと思ったのです。昔はロボットが変身して戦うところだったけど、この話では直接服になっている、というところか。流子が鮮血と話しているシーンはいつも「ワタルと竜神丸みたいだなー」と思っていました。(自分は残念ながら超魔人英雄伝しか見ていなくて申し訳ないのですが)昭和の香りというか、平成初期の香りです。1990年前後をお子様で過ごした人が大興奮しちゃう感じです。つまりは大きいお友達向けですね、すみません。

 あと、服飾関連で世界が統一されていたことも面白かったです。武器が片太刀バサミとか、針とか糸とか。そして大量の部活動も面白かったです。よく「部活動でバトルロワイヤルしたら何部が勝つか」というノリを体現してくれたのもよかったです。でも一番面白かったのは「鉄の校則」で生徒手帳を投げて攻撃しているところで部活動ですらありませんでしたが。

 キャラクターをじっくり見ていくと語っても語りきれない気がするのですが、一番印象に残るのはやっぱりマコですね。最初は「こいつうぜぇ」と思わせておいて、実は最後まで一番頑張る子でした。純潔流子にぶっちゃけいろいろ予定調和な話でしたが、喧嘩部があんな感じで伏線に入っているとは思いませんでした。ごめんなさい。

 そんで一番大事かなと思う要素が、「恋愛要素」がちょろりしかないということ。確かにそれらしいシーンはたくさんあったけど、気にしなくたって全く構わない。最近は恋愛を軸にすれば売れると思っている節があるから、そういうのは野暮だと思うし、わかる人だけがわかればいいと思う。ハタから見てニヤニヤできる程度がちょうどいいと思うのです。というわけで蒲郡とマコ最高。マコがどう思っているのか謎なのがよい。

 最後に、このアニメの魅力のひとつの昭和くささが爆発したのが前期EDの「ごめんね、いいコじゃいられない。」です。タイトルとか元ネタとか気にしないでもいい曲だと思うのです。


Kill la Kill Ending 1


 ところで、この歌の一番は流子のことだろうと思うのですが、二番は完全に皐月様だと思うのです。

 いつだって自分が一番正しい? 馬鹿みたいな話だね
 教科書の通りに操れるならひとりで生きていくわ

 どうせわからない わかるはずもない
 だからあたし、誰にも
 指図はさせない 同情もいらない
 もういいよ えらそうに

 アナタの思惑通りの大人になんかならないわ
 綺麗なことばっか並べないで
 ピエロのような顔 その笑顔の中を
 誰にもまだ暴かれてない仮面をあたしが今夜剥がしたげる

 

 ね、完全に皐月様視点だよね!? 最終回で一番最初に飛び出したのがマコではなく彼女と言うのも泣ける話です。


 おつかれトリガー! ありがとうトリガー!
 次回作も期待しているよ。