傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」

 見たよ見たよ一作目。
 

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 【あらすじ】

 もしもの21世紀。いくつも世界大戦と核戦争を繰り返し、科学技術の進歩でサイボーグも当たり前になり、脳も電脳化し直接ネットワーク構造に繋げるようになった時代。凶悪化する犯罪に対抗している公安9課は電脳ハッカー人形使い」の捜索していた。そんなとき、義体メーカーで勝手に女性型義体が作られ、脱走するという事件が起きる。草薙素子はこれが「人形使い」の仕業と考え、義体を巡り公安9課と公安6課、そして素子の思惑が絡まっていく。

 

【感想】

 ジャパニーズクール、という奴ですか。雰囲気はブレードランナーでアジアンテイストを調合して爆発させたって感じ。無駄に難解で一回見ただけではなんだかよくわからないけどなんだかカッケーという肌で感じるSF。そういうほうが好み。


 よく「ストーリーがわかりにくいからこの映画嫌い!」という評を聞くんだけど、そういう批判って裏返すと「私が理解できないからこれは駄作だ!」みたいになってあんまり頭良く見えないから好きじゃないんだよね。込み入ったストーリーであるのはそれなりの見せ方であって、必ずしも「わからいやすのが面白い」わけではないと思う。むしろぐちゃぐちゃさせて「何が何だかわからないだろう?」というメッセージを受け取ればいいと思う。物語の欠点を指摘するであればいざ知らず、この世の中すべてを理解することは難しいんだから、おとなしく物語の前に屈服しておいたほうがいい。考えるな、感じろ。そしてわからなかったら、おとなしく黙っておいたほうがいい。

 アニメシリーズから一貫して素子ももちろん好きなんだけど、今回は「人形使い」が思ったよりヒットしました。こういう実体のない奴が何だかんだって実体を持とうと頑張る話って大好きだ。クライマックスの素子との会話も難解でとっつきにくいけど、要は「お前が欲しい(byコンパイル)」的な会話でちょっと萌え要素がありましたね。どこに萌えるんだって? そりゃー、「人形使い」君が一生懸命言葉を選んでいるところでしょう。

 最終的に「人形使い」君と融合してなんだかわからない存在になってしまった草薙素子さんはこの後どうなるのでしょう。あと何となく最後のセリフは「テイルズオブシンフォニア」でほどよく使いまわされている気がしました。やっぱり自分が何者であるか既定するのは難しいし、生活していく中で「個」を定義しなおしていく必要があるのかもしれませんね。