感想「口寄せ蓮治捕物帖」
年明け一発目のヴィレバンで少女椿を探していて、偶然出会いました。一目見て惚れました。気が付いたらお手手に握ってレジにいました。そのまま誘拐犯のように家に連れて帰ってきてしまいました、いけない子。
【あらすじ】
少年ネンジはウクレレを弾くことでオウムの蓮治に口寄せが出来る。失踪した父を探して旅をする中で出会う不思議な事件を、死者の言葉を頼りに解決していく。
【鑑賞記録】
要はジャケ買いというやつです。この表紙の首が異様に曲がった少年が気になって気になって仕方がなくてお持ち帰りしたわけです。もうこの表紙だけでご飯三杯いけます。不審者です。そして中身を開くまで帯に書いてあるあらすじとか、そういうの気にしてませんでした。ただ「心霊ミステリー」というだけで彼がどういう設定なのかとかもう全然知りたいとも思いませんでした。何かに憑りつかれています。俗物です。
そして冒頭数ページでわかった少年像に、衝撃を受けました。
・少年はネンジ、肩のオウムは蓮治というらしい。
・父はなく、母は男をとっかえひっかえしてナントカ暮らしている。
・男が来ていると家を追い出されて、外でウクレレをいじりながら待っている。
・学校でも友達はなく、ホームレスのおっさんだけが優しくしてくれる。
・それでもお母さんが大好きで、いつも甘えたいと思っている。
うーむ、どうやらこの作者は知らない間に私の頭の中を覗いたようですね。
よくある話とはいえ、おそろしいくらい私の趣味と一致しますね。怖い怖い。
それでネンジ君がどうなるかというと、ホームレスのおっさんに教えてもらった曲を弾くことでオウムの蓮治に死んだ人を憑りつかせ、口寄せができることを発見するのです。中学に入ってすぐ、母も亡くなり口寄せができないため生きていると思われる父の居場所を探す旅に出るのでした。コミックの大体はその旅の道中にあった出来事です。
特に怖いお化けが出るとかそういう話ではありませんが、やたらと薄気味悪い雰囲気に薄幸のネンジ君が乗り込んでウクレレをぽろぽろ弾いたら口寄せで蓮治が喋るというのが大まかなストーリーです。心霊ミステリーだけあってとにかく薄気味悪いです。ミステリー具合に新しいところはありません。ホラーとか物語性とか、そういうの求めているとつまんないと思います。単純に薄幸少年が好きな人がえへえへ言いながら読む漫画です。えへえへえへえへ。
とりあえずネンジの薄幸レベルはかなり高いです。これは薄幸少年ファンなら是非一冊コレクションするべきですね。どんなに邪険にされても、それでもお母さんの愛が欲しいネンジにえへえへできるはずです。そんな奇特な人もそんなにいないだろうけどね。