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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「かぐや姫の物語」ネタバレ考察回


前回はネタバレなしの感想オンリーだったので、
今回はがっつりネタバレしつつ考察も加えていきます。
(下手の横好き設定考察厨の血が騒ぐ)


以下激しくネタバレです。



「生命賛歌」と「少女賛美」がテーマと前回も書きましたが、何となく「肉体回帰」のようなものも後から感じました。かぐや姫の成長と共に最初は裸で、そのあと手足がすらりと伸びていき、四肢を自由に使って山や屋敷を駆け回るシーンは素敵。指の先からつま先まで自分の意識で動かしている感覚は現代人が失った何かなのかもしれません。


 かぐや姫の成長過程も映画ではわかりにくい。
 ちなみに原文ではこうなっている。

「三月ばかりになるほどに、よき程なる人になりぬれば」(三か月ぐらい経つと、美しい姫君に成長したので)



 かぐや姫が生まれたのが「まだ梅も咲かない時期」で、今の暦で言うと大体1月の下旬から2月の上旬くらいだろうか。木蓮の花が咲いて、うぐいすが飛んできて、藤の花が咲く。筍が生えてくる時期にはまだ幼児に近い年齢だったけれども、瓜がなる夏には既にしっかりとした少女に成長している。だいたい6月~7月くらいだろうか。


 原文を損なうことなく、季節の彩も使って時間の流れを表現しているのは本当に高等テクニックだと思いました。秋の山の恵みもふんだんに描ききって、山パートを終えたのも素晴らしいですね。だいたいここで9月くらいでしょうか。


 それで「姫の名づけの宴を三日間ぶっ続けで行う」のは年明け(旧暦だから2月か)。この時点で実は姫は生後一年くらいです。まだ一年しか生きていないから、いろいろ分別がないのですね。


 それ以前にかぐや姫と言いつつ、化粧を嫌がるなどの行為は明らかに「虫愛づる姫君」のそれだと思いました。「ナウシカ」の元となったキャラクターの一人で、「堤中納言物語」に登場します。彼女は「蝶のような美しいものの本質は毛虫」と言って毛虫をかわいがり、「何事も本質が大事」と言って当時の身だしなみを一切拒否するのでした。現代だからこそ「素顔が一番ね」とかぐや姫に同情したくなるのですが、時代背景を考えると「いい年した娘が眉なしすっぴんでスウェットにキティちゃんサンダル履いて高級レストランで食事」みたいなものです。つまり異常です。変に現代の価値観で昔話は語れないのが難点ですね。


 そんで例の「わらべ唄」。これが最高。最初の山の子供たちと歌っているシーンも素敵だし、琴を奏す時の曲もこの曲。既に指摘されていますが


とり  = 燕の子安貝
むし  = 竜の首の玉
けもの = 火鼠の皮衣
くさき = 蓬莱の玉の枝
はな  = 仏の御石の鉢


 それぞれに対応していて、得難い宝物は姫の箱庭と同じく「ニセモノ」であって、本物は屋敷の外にたくさんあるわけなのです。天人が来るということで対抗して武士を連れてくるシーンでは「私たちも負けずに歌いましょう」と媼が糸巻をしながらこの歌を歌う。更に天人の音楽に対抗して出てくるラストシーン。生命を認めない清く尊い天人の世界と対比した地球の歌でかぐや姫を引き留めようという心遣いがにくくてにくくて仕方がありませんでした。


 実際に「罪と罰とは何か?」はもう一回時代解説編で触れようと思います。


 そして最重要追加キャラの捨丸兄ちゃんですね。これだけの重用キャラを「竹取物語」の雰囲気を損なわず盛り込めたのは見事としか思えません。彼はかぐや姫を「タケノコ」と呼び、あくまでも一人の女性として接する。かぐや姫にとって「意識する異性」としてのキャラクターで、それは五人の貴公子と対になっている構図です。


 捨丸とタケノコが「千と千尋」状態になるあのシーンなのですが、映画館出た後高校生ぽい子たちが「奥さんと子供いるのに不倫とかないわー」とわーわー騒いでいましたが、それ以前にあのシーンで完全に二人は大人の階段昇ってるとしか思えないです。


 まず空に向かって二人で昇っていく。そして大地に生きることへの感謝。 
 そして月が出てくると「帰りたくない!もっと強く抱きしめて!」
 そしてかぐや姫だけ海に落下する。


 「何この壮大なエロ」って呆然としてしまいました。「究極のエコロジストは地面に穴掘ったり木の枝で地球とつながる」とかくだらない話を思い出してしまうくらい、「生命の躍動=生命の根源的行為」としかとれなかった。特に「月から目をそむける=女性性の象徴を恐れる」、「海に落下する=少女としての死」の暗示にしか見えなくて。ま、年頃の男女だし、もうすぐ帰っちゃうし、致し方ないのかなと。瓜を盗むシーンはここの伏線だったと考えると、業の深い話です、かぐや姫は。


 ところで彼が盗人として捕まってしこたまぶん殴られていましたが、「火垂るの墓」でもこういうシーンありましたね。深い意味もあることはわかっているけど、なんとなく高畑勲の趣味なんじゃないかとか思ってしまう。


 まだいろいろあるのですが、あとは時代背景がわからないと微妙な所もあるので次回の「時代解説編」に回そうと思います。


 最後に、ここでいろいろ言っているのはあくまでも「私見」ですので、真に受けないでいろんな人の感想見て判断してほしいです。



(11/27追記)

 ひとつ言うこと忘れてた!

 この映画観た後「何かに後味似てるなー」と考えた結果、思い出したのがFFⅨでした。

D

「あれ? かぐや姫ってガーネット&ビビじゃね?」と思った瞬間「最初は捨丸はジタンで、翁はスタイナーじゃん」と繋がってしまって「そりゃ好きだよね!FF?で号泣したら好きだよね!」と納得したのでした。『Melodies Of Life』も『いのちの記憶』も、なんか雰囲気似てるよね!

 というわけで、FFⅨで感動した人にはおススメです。


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