傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」

 夢の中まで愛して。

 

 【あらすじ】

 友引高校は学園祭を明日に控え、連日泊り込みで準備を進めている。ところが、肝心の学園祭当日がやってこない。同じ日を何度も繰り返していることに異変に気が付いた一同が調査を開始すると友引町全体が何者かによって閉じた空間にされていることがわかった。ラムとあたるたちは無事に学園祭当日を迎えられるのか?

【感想】

 日本のSFアニメを語るなら外せないらしいので見た。最初に思ったのが、確かに筋は面白いけど「うる星」なのかと言われれば微妙と言う感じ。原作者の高橋留美子は「こんなのうる星じゃない」と言ったらしいけれども、確かにいろんなゲストキャラが出てきてドタバタするのが高橋留美子作品の醍醐味でそういう部分を排除してすっきりとストーリーだけ見ると、確かに斬新。これは評価が分かれても仕方がない。


ただ内容は非常に面白かったです。

 友引町からどうやっても出られない浦島太郎状態に気が付いて、その後やけっぱちのように生活していくシーンは完全に不条理展開そのものです。ギャグのように見せているのに、ちっとも面白くないどころか逆に寒気がするような構図で「これをどうやって解決するんだよ!?」となる。ところどころで出てくる意味深なシーンが更に恐ろしい。(鏡合わせしのぶとか)

 そして終盤に差し掛かって現れる黒幕とあたるの対峙。「夢だから、やり直すことができる。それでも現実に戻るのか」という問いがこの映画の本質で、前半の浦島太郎を引用するなら「浦島太郎もずっと竜宮城にいればよかったのに」というところか。

 総合的に感じたのが、これが30年前の作品になるのに未だに古くないということ。最初の学園祭満載のシーンは少し古い感じがしたけれども、誰もいない友引町あたりからはどんどん絵にも魅力が増してくる。そういう意味でこれは「古典」として名前を残してもいいと思う。

 実際この作品を元にした作品はたくさんあるし、今話題の「まどかマギカ」の映画も途中まで展開が一緒だ。オチがまったく違うのでそれはそれで構わないけれども。