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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「チャップリン作品」

 昔の映画観たいなー、と思っていた時「そういえばお正月のチャップリン特集まだ観ていなかった」とHDDから引っ張り出してガンガンチャップリン見てました。あくまでも映画初心者で、チャップリン初心者の感想です。昔「キッド」を見たことがあるくらいです。


≪街の灯≫
 

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 【あらすじ】

 チャップリン扮する浮浪者が、ある日盲目の花売り少女に恋をした。その夜、自殺を図る富豪をたまたま助けたチャップリンは彼の親友になった。ところが、富豪は酔いが覚めると彼と友達であったことを忘れてしまう。一方、花売り少女は家賃が払えなくて家を立ち退かなければならない。チャップリンの恋心のための奮闘の末、娘は幸せになれるのか?
 

【感想】

 サイレント映画で、現代映画に慣れていると最初は随分と苦労するはず。全てがマイムで笑いを表現しているものって、最近では芸術の域に入っているからなぁ。昔サーカスのピエロの幕間劇をみたことがあるけど、こんな感じだった。特にレストランの椅子の取り合いのシーンはマイムでないと面白くない。


 あと賭けボクシングのシーンでのウサギの脚のお守りが好きです。如何にも強そうなボクサーが「これが俺の幸運のお守りさ」と見せびらかすというところがわざとらしくて、そのわざとらしさが爆笑のオチを誘うのです。

 本当にハチャメチャなのに、ラストシーンは映画史に残る美しさ。チャップリンの手に触れてからの「You?」のクレジットで終わるキレイさ。それから彼らがどうなるのか、幸せになれるのかという謎は残るけれども役者の表情の中に答えを描いている、言葉で説明しない素晴らしさ。ただ、サイレントの敷居は高いので何となく見てみようかと思うと疲れるので何本かサイレントなりチャップリンを見るなりして慣れてから見たほうがいいでしょう。



≪独裁者≫ 

【あらすじ】

 第一次大戦中、チャップリン扮するユダヤ人の理髪師が戦友と本国に重要書類を届けるが飛行機が墜落。理髪師はそのショックで記憶喪失に。その間に国では独裁者ヒンケルユダヤ人迫害を始めていた。街に戻った理髪師はユダヤ人が不当に差別を受けていることに戸惑うが、その町の指揮官はかつての戦友だった。「この人は命の恩人だ」ということでひとまず迫害は鳴りを潜めるが、独裁者ヒンケルユダヤ人排斥と隣国への侵攻を企てる。とうとう理髪師と戦友は強制収容所に送られることになってしまう。そして隣国侵攻の作戦は着々と進むのだが、この理髪師とヒンケルが瓜二つの容姿をしていたことは全くの偶然だったのである。

 

【感想】

 イデオロギーが強いのかと思っていたら、そうでもなくやっぱりハチャメチャの風刺劇。言わずもがなヒンケルヒットラー、ガービッチはゲッペルス、ヘリングはゲーリングの役回り。冒頭のさかさま飛行機の時点で笑いが止まらない。理髪師周囲のあったかいストーリーも面白いけれども、ヒットラーを正面から皮肉っているのが本当に面白い。(ムッソリーニ役も出てくるのが面白かった)有名な地球儀のバルーンのシーンも楽しかったのですが、ただの喧嘩の首脳会談も大好きです。


 有名な話で、ヒットラーの演説は身振り手振りが素晴らしく聴衆を動かすという。チャップリンも独自に動きを研究したのでしょう。ヒットラーの動きと言えば手塚治虫の「人間ども集まれ!」でも触れていたし。

 

人間ども集まれ! 手塚治虫文庫全集
 

 

 ラストシーンの演説は、ストレートでよく名演説として取り上げられている。戦争ばっかりやっていた時代に、ああいうメッセージは貴重だったのかも。


チャップリンの黄金狂時代≫

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【あらすじ】

 時はゴールドラッシュ。チャップリン扮する冒険家は雪山で遭難。運よく金山を掘り当てた冒険家とお尋ね者の小屋で冬を過ごすことになる。金山を掘り当てた冒険家はのちにお尋ね者に金山を取られそうになる。一方冒険家は街へ帰ってきて貧しい生活をしていた。酒場の女性に恋に落ちるが、彼女は特に気があるでもない。「大晦日に訪ねていくわ」という約束を頼りに懸命に働く冒険家。金山の行方は、そして彼の恋心はどうなるのか?

 

【感想】

 チャップリンの作品で最高傑作と淀川さんは言っていました。


 その通り、これは理屈抜きで面白い。最初にクマが出てくるのに、クマがクマらしくない。そして飢えに耐えかねて靴を食べ始めたり相棒がニワトリに見え始めたり。この辺は理屈抜きで面白いですね。

 街に戻ってきてからはメロドラマ路線。「大晦日にまた来る」約束を信じて家を飾り付ける(他人の家だけど)チャーリーがかわいい。そして伝説のロールパンダンス。こんなことが出来ちゃうのが恐ろしい。

 


Charlie Chaplin - The Gold Rush - Roll Dance


 それから最初の小屋に戻ってのすったもんだは楽しすぎる。昔こち亀のアニメで似たようなギャグをやっていたけど、これが全てのオリジナルなんだろうな。アホらしすぎて当時の劇場の反応が気になります。ラストが文句なしのハッピーエンドでよかったです。こうやってすっきり終わるのも大事ですね。


≪モダンタイムス≫

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【あらすじ】

 人間が機械の一部として働くような工場でおかしくなってしまったチャップリン扮する男。何故か思想犯と勘違いされて刑務所に入れられるが、とあることで恩赦を受ける。自由にはなったがどこもストライキや不況で仕事はない。一方パンを盗んだ浮浪少女を助け、なんとか二人で暮らしていけるよう仕事を探すが何度も警察沙汰になり、なかなか安定した仕事は見つからない。

【感想】

 有名な歯車のシーンは、序盤で出てきましたね。あの世界をアニメにしたらまんま狂気ディズニーですね。「人間らしさ」とは何かというテーマを貫いて書いている世界が面白いですね。風刺劇があるようで、実はけっこう笑えないくらい深刻なシーンが多くて失業者問題などは現代でも笑い飛ばせないシーンが多数ありました。


 最後の「ティティナ」はインチキ外国語ってことで、笑いに言葉はいらないんですよね。袖の下に隠したカンペを吹っ飛ばしたので適当に歌うことになっています。


Charlie Chaplin - Titina (Modern Times,1936)



 なんだかよくわかんないけど、なんだかおもしろい。そんな感じでいいんじゃないですかね。