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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「風立ちぬ」

風立ちぬ」ヤバイ。マジありえねーレベルでパねぇから。マジ鳥肌モンだから、マジ見に行くべき。


※ただし(ry

 

 個人的ジブリNo.1作品になりました。最初の震災シーンで震災経験を思い出し、途中のとあるシーンから涙でスクリーンが見れなくなり、最後とある登場人物が号泣するシーンで一緒にぼろぼろ泣き、ラストシーンで涙腺が特別警戒警報に入り最後のひこうき雲はろくに聞けませんでした。



 結局映画館出て人気のない階段のところで落ち着くまでずっと声出して泣いてました。何でしょう、この個人的に感性をえぐりまくる作品は。映画が人の心を揺さぶるのもであるならば、間違いなくこれは傑作です。

※ただし(ry


 問題はこの「※ただし(ry」ってところです。少なくとも以下に当てはまる人はまったく面白くないどころか退屈なこと間違いなしです。

・寝食を忘れるような趣味がない
・恋愛をしたことがない、独身である
・基本的にフィクションを普段見ない
・18歳以下全般

 上記に当てはまる人は理解できないかもしれない。ストーリーが「つまらない」のではなく「ある程度の教養がないと理解できない」が正しい。「ジブリは万人受けするものを作らないと!」と息巻く評価もあったけど、そんなお前ルールを押しつけちゃダメだよ。「トトロかわいいジブリ最高!」という人は間違っても行かないほうがいい。マスコットキャラは存在しないし、基本オトコとオンナの話なので子供が見たがっても連れて行かないが吉。


以下見た人用の感想です。


【いろいろ感想(がっちりネタバレあり)】

 「ハヤオ映画は人が転ぶシーンに結構こだわる」みたいな話を聞いていたのでしょっぱなで土手から滑り落ちるシーンで「おお」と思いました。他に転ぶシーンとしては

ラピュタでパズーが金貨を投げつけようとするシーン
・トトロでメイが泥だらけになるシーン
もののけ姫でアシタカが久しぶりに外に出るシーン

 今回も他に名古屋から東京に駆けつけるシーンで盛大にずべーんと転んでいる。やっぱり「転倒」って躍動感あるんだなぁ。


 冒頭の部分がどう見ても「夢」なので、「これは全部夢落ちもアリだな」と思っていたら本当に夢落ちチックだったけれども、これは難しい問題。現実と夢が交差する作品は面白いけれども、受け手にハイレベルを要求するんだよね。だから小説の書き方講座的なところでは「時系列等はきちんと書きましょう」ってやるわけ。

 今回は割と時系列も現実も夢もいっしょくたにごっちゃに飛ばされるから宮崎駿の大風にぶっ飛ばされてる感じがしました。そんなぶっ飛んだ話でも許されるくらい、全体的に絵がキレイなんだよ。震災のシーンのひとつひとつとか、ドイツの寒そうな感じとか、牛とか。終盤の結婚式のシーンはキレイすぎて涙が止まらなくなりました。

 そんで声優が棒読みとかいうけど、これは逆にはまっていたと思う。この人に感情はいらないんだよ。淡々と棒読みくらいがいいと思う。そのあたりが「生活をおいてきた理系男子」っぽくて生々しかった。(そういう人と接していないとこの生っぽさは伝わりにくいかも)あとシベリアシーン。あれは昔ラーメン博物館で食べたけど、すっごい甘い印象しかない。あのシーンも冒頭の喧嘩のシーンも、堀越二郎の無邪気な正義感の現れなんですよね。この人は正義感はあるし、戦もあまりよくないと思っている。でも飛行機は作りたい。このくっさいジレンマがくっさい恋心に波及するわけで。

 菜穂子と手をつないでタバコを吸い仕事をするシーンも、苦手な人は苦手かもしれない。でも、これって結局終電前に改札前で人目をはばからず抱き合ってるカップル的なもので、「もうすぐ死んじゃうから、せめて少しでも長く一緒にいたい」ってことなんだよね。ここでタバコを吸ってしまうのも、時代と逆行しているけど、当時だと仕方ないかもね。むしろだからってタバコを我慢していたらそれはそれで冷めるところがある。菜穂子が好きなのは「一生懸命飛行機を作っている二郎(タバコ含む)」だから菜穂子としてみるとそこまでひっくるめて愛おしいわけで。この辺の気持ちの汲みとりは結構高度だと思う。遠距離恋愛とかままならない恋愛を経験した人には、何となくわかるんじゃないかな。「何が遠距離だ そんなの近いじゃんか」と19は歌っていましたが、この後二人は遠距離どころではない距離を引き離されてしまう運命なので、タバコくらい大目に見てほしいところですね。


 とにかく、すべてが大人オトナしているわけで。悪い奴もいないし、誰も幸せにならない。
ただ男が飛行機作って、結婚して奥さんが死ぬだけ。それだけの映画にかけた情熱が恐ろしいくらい伝わってくるのがハヤオパワーです。史実じゃないからダメとかいうものあるかもしれないけど、それは三国志演義的なものとしてとらえるのはどうだろう? これはそういう次元を超えたところで評価をしてもらいたい映画だった。


 まず絵がキレイ。声がめちゃくちゃ生々しい。(うまい下手関係なく、とにかく生っぽい)それでいてヒューマンドラマも織り込んでいる。それだけで、特に語ることはないと思う。語ることは映画の中で語りつくしていると思うし。それだけでも、見る価値はあると思う。


 ただ、このブログを書いている人の言っていることはブログタイトルの下にも書いてあるので
ここでめちゃくちゃ絶賛しているからと言って、全てを信用してほしくはない。


でも、個人的には生涯で何度も見てもいい映画だと思った。見るたびに何回泣くかわからない。

そんな映画があってもいいと思う。